反面調査に関する考察

税務

税務調査と売上

反面調査への対応

断ることができるのか?
-義務とその影響-

その他

- 2015.08.19 -

反面調査とは

反面調査とは、税務調査の過程で不正の嫌疑が発生した際、取引先等へ事実確認するものです。
例えば、架空外注費の計上が無いか、等仕入先へ直接照会をかけます。
では、当該申し出が入った場合、これを断ることが可能でしょうか?
以下では、法改正も踏まえ、実務ポイント等を見ていきます。

反面調査に応じる義務

税務調査の過程において、税務職員から行われる質問検査権を拒否することはできません。
(国税通則法第74条の2)

帳簿類等の提示を求められた場合、応じる義務があります。
なお、拒否者に対しては、罰則も用意されています。
(国税通則法第127条)

なお、上記国税通則法の改正は平成25年1月から施行されています。
国税庁HP参照

ただし、当面の間は強行的に提示を求めるというスタンスでは無いようです。
趣旨説明をし、承諾を得るという形と思われます。

何がきっかけとなるのか?

反面調査の端緒として、資料せんが挙げられます。
資料せんは、得意先・仕入先等から不定期に税務署へ提出され、調査基礎資料となるものです。
任意の納税者へ提出依頼が行われ、顧問税理士に渡されたこともあるかと思います。

例えば、A社→B社へ100万円の売上が立つとします。
その場合、B社からはA社より100万円の仕入があったことが、税務署へ報告されます。
当該データはkskと呼ばれる税務署のシステムへデータ蓄積されます。
(kskは全国の税務署職員が閲覧できる中央データ管理システムのイメージです)

kskデータとA社帳簿で不整合があれば、AまたはB社に不正の嫌疑がかかります。
つまり、どちらかが虚偽の報告/処理をしている可能性があるということです。

取引先と口裏合わせ

反面調査が入るからといって、事実と反する口裏合わせをすることは、問題です。
実際は、取引先との力関係もあり、無碍にはできないかもしれません。
しかし、場合によっては、自社の脱税をも疑われることになります。

よって、申し出があれば、ありのままの事実を開示するように留意します。
なお、反面調査といえど、情報提供者自身に対する税務調査ではありません。

【注】本Tipsでは、投稿日時点の情報を掲載しています。記事に関する税務・個別具体的判断につきましては、最寄の税務署または顧問税理士・税理士法人等へ相談確認して下さい。万一当記事に基づいて発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねます。