クリエイターと所得税の源泉徴収
税務
クリエイターの税金
所得税確定申告
-源泉徴収等-
所得税
- 2015.07.06 -
クリエイターの報酬・料金に関する税務
クリエイターには、デザイナー、ミュージシャン等、多様な形態があります。
個人事業が多いでしょうが、法人の場合もあります。
個々の形態に応じて、税務処理が異なるため、注意しましょう。
以下では、報酬・料金に関する税金について、見てきます。
源泉所得税の考え方
個人事業主の場合、必ず考慮しなければならないのが、源泉所得税の取扱いです。
源泉所得税とは、報酬・料金等の支払いの際、予め支払者によって、天引きされる税金です。
反対に、個人のクリエイターに支払う場合は、源泉所得税の徴収・納付が必要です。
(外注先への支払い等で発生。)
なお、ここでいう、「クリエイター」と一般的認識には、乖離があります。
税務上、処理が必要な、クリエイター/報酬・料金等とは、以下のようなものです。
- ・フリーライター/原稿料
- ・フォトグラファー/広告掲載用写真の報酬
- ・グラフィックデザイナー/広告、Webサイトデザイン料
なお、Webクリエイターの場合、HP制作とデザインを一括受注することもあります。
その場合、原則、両者を区分します。
デザイン部分には、源泉徴収が必要。
制作部分には、源泉徴収は不要、と処理し、請求書を発行します。
源泉所得税の税率と納付
源泉所得税等(所得税+復興特別所得税)の、税率は、以下の通りです。
1回に支払われる報酬・料金等 | 税率 |
---|---|
100万円以下 | 10.21% |
100万円超の部分 | 20.42% |
そして、徴収した、源泉所得税等は、支払い者にて納付が必要です。
納期は、支払月の翌月10日です。
(土日祝日に該当する場合、納期は、その休日明けになります)
給与等の源泉徴収では、納期特例の制度もあります。
(当該制度では、年2回、まとめて納付します)
しかし、クリエイター報酬等の場合、当該特例の適用はありません。
したがって、納期特例を適用している事業所の場合、混同しないよう、注意します。
なお、納期に遅れた場合、延滞税、不納付加算税等のペナルティが発生します。
(
源泉所得税の延滞税等ペナルティはこちらで計算
できます。)
税理士に処理を依頼している場合、クリエイターへの支払いは、早めに連絡しましょう。
報酬・料金等が多額となる場合、特に留意します。
源泉所得税は還付される?
報酬・料金等の支払時に、天引きされた源泉所得税は、どうなるのでしょうか。
源泉所得税等は、税金の前払い的性質を持つものです。
したがって、確定申告時に精算されます。
確定申告の結果、所得が少なければ、先払いの税金(=源泉所得税等)は還付されます。
確定申告期になると、報酬・料金の支払先が、法定調書を発行してくれることもあります。
(クリエーターから見ると、発行者=得意先、に該当します)
ただし、一般消費者等が得意先の場合、当然、発行してもらえません。
法定調書(支払調書)は、確定申告の基礎資料として、使うことができます。
なお、必ず交付してくれるとは限りませんので、自身の会計帳簿でも、記録しておく方が良いでしょう。
ところで、当該支払調書は、必ずしも正しい処理とは限りません。
支払調書の内容が誤っている(または、両者の認識が乖離している)可能性もあるからです。
支払調書通りに確定申告をした=問題ない、というわけではありません。
したがって、確定申告時に、自己で集計した結果との突合せも必要です。
支払調書は、あくまで、参考資料という位置づけで利用した方が、無難です。
また、パート主婦で、デザインの副業等をしている方もいらっしゃると思います。
確定申告をすれば、源泉所得税等が還付される可能性もあるため、申告を検討します。
(夫の扶養範囲等も考慮する必要があります)