源泉徴収の納税義務は発生する?
税務
請求書と源泉徴収
請求書に書いてない場合の納税義務
-個人事業主の料金・報酬-
所得税
- 2015.12.09 -
普通は請求書に書いてあるが・・
個人へ料金・報酬を支払う場合、支払者には源泉徴収義務が発生します。
(所得税法第204条)
実取引でよく出て来る料金・報酬には以下のようなものがあります。
- ・原稿料
- ・デザイン料
- ・講演料
通常、当該源泉徴収税額が引かれて請求書が発行されることが多いでしょう。
しかし、何らかの理由で請求書に書いてない場合はどうなるのでしょうか。
支払者は、源泉所得税を徴収する必要は無くなるのでしょうか。
所得税法上の規定
所得税法第204条では以下のように規定されています。
- 居住者に対し~略~報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は~略~所得税を徴収し~略~これを国に納付しなければならない。
条文上は、請求書の記載の有無に係らず、徴収義務があるように規定されています。
よって、その性質が対象たる料金・報酬に該当すれば、天引きが必要です。
請求書に書いてないからといって、徴収義務が無くなるわけではありません。
源泉徴収が不要となる場合
他方、所得税法基本通達204-8では以下のように規定されています。
- デザインとその施工とを併せて請け負った者にその対価を一括して支払うような場合には、~略~デザインの報酬又は料金について源泉徴収を行うべきであるが、~略~極めて少額であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えない。
つまり、デザインが納品物の副次的要素でかつ極少額なら源泉徴収不要というわけです。
よって、デザイン要素のある報酬・料金であっても例外的取扱いが存在し得ます。
そのため、源泉徴収の要否は取引の実態によっても判断する必要がありそうです。
源泉徴収をする場合の手続き
源泉徴収が必要だと感じたら、まず請求書発行者に問い合わせをします。
先方の考え方・主張もあるでしょうし、お互いの認識をあわせることも大切です。
天引きが必要であれば、請求書の訂正依頼も検討します。
請求書の記載漏れはなぜ発生するのか
源泉所得税等の徴収義務者となるか否かは支払者によって異なります。
支払者が従業員を雇っている法人や個人事業主の場合は、源泉徴収義務者となります。
一方、そうでない場合は納税義務者となりません。
分かり易く言えば、
- ・BtoB取引では源泉徴収が必要
- ・BtoC取引では源泉徴収が不要
といったイメージです。
例えば、デザイナーがサラリーマンのサイドビジネスのために作成した広告デザインです。
この場合、ほとんどのサラリーマンは源泉徴収義務者に該当しません。
よって、請求書に源泉徴収税額を記載しないのが正しい処理となります。
一方、ビジネスとして通常法人に料金報酬を請求する場合は、記載が必要です。
このように、請求書に記載すべき/すべきでない相手(=支払者)を区別する必要があります。
この区別が、税務に不慣れなフリーランサーを困惑させる原因ともいえるかもしれません。