確定申告(上場株式等)~2015年度版~
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- 2015.01.31 -
上場株式等に関する税制概要【平成26年度確定申告】
平成26年分より、上場株式等の譲渡益および配当にかかる税率が、以下のとおり、引き上げられました。
税 | 変更前(%) | 変更後(%) |
---|---|---|
国税 | 7.147 | 15.315 |
地方税 | 3 | 5 |
計 | 10.147 | 20.315 |
上場株式等の譲渡益/配当がある場合は、幾つかの申告方法があります。
納税者は自己に有利なものを選択することができます。
一覧にすると以下となります(大口株主等を除く)。
類型 | 申告不要 | 申告分離課税 | 総合課税 |
---|---|---|---|
配当 | ○ | ○ | ○ |
譲渡(特定口座>源泉あり) | ○ | ○ | × |
譲渡(特定口座>源泉なし) | × | ○ | × |
譲渡(一般口座) | × | ○ | × |
では、それぞれの特徴を見ていきます。
申告不要
申告不要を選択した場合、文字通り、納税者が確定申告において行う手続きはありません。
その場合の主なメリット/デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- ①確定申告の手間が省ける
- ②合計所得金額に含まれないため、扶養控除等の判定で有利になる場合がある
【デメリット】
- ①上場株式等の譲渡損失と配当金との損益通算および繰越控除不可
- ②借入金利子がある場合でも、必要経費にできない
ただし、源泉徴収ありの特定口座に受け入れられた上場株式等の配当金であれば、その口座内の譲渡損失と配当金との損益通算は証券会社等にて行われます。
申告分離課税
申告分離課税を選択した場合、他の所得(例えば、事業所得や給与所得)と区別し、税金を計算します。
その場合の主なメリット/デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- ①上場株式等の譲渡損失と配当金との損益通算および繰越控除可
- ②一定税率で課税されるため、高額所得者である場合、有利となる可能性あり
【デメリット】
- ①配当控除の適用はない
- ②合計所得金額に含まれるため、扶養控除等の判定で不利になる場合がある
なお、申告する上場株式等につき、分離課税か総合課税かは、統一して選択する必要があります。よって、A株式は分離、B株式は総合、といった選択はできません。
総合課税
総合課税を選択した場合、他の所得(例えば、事業所得や給与所得)と合算し、税金を計算します。
その場合の主なメリット/デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- ①配当控除の適用がある
- ②超過累進税率で課税されるため、非高額所得者の場合、有利となる可能性あり
【デメリット】
- ①上場株式等の譲渡損失との損益通算および繰越控除不可
- ②合計所得金額に含まれるため、扶養控除等の判定で不利になる場合がある
では、どの程度の所得の場合、総合課税を選択すれば有利なのでしょうか。一目安ですが、平成26年上場株式等の配当金のみの場合、課税総所得金額等:695万円が損益分岐となることが多いようです。
また、総合課税を選択する場合は、扶養控除等の判定に注意が必要です。
申告することにより、所得が発生するため、たとえ税還付が受けられる場合であっても、配偶者控除等の範囲から外れる可能性があります。