平成27年税制改正【2015年施行消費税関連主要項目】
税務
消費税主要改正事項
税理士事務所職員向け
-平成27年分-
消費税
- 2015.06.01 -
主要改正項目一覧(2015年施行)
今回、日常業務に関係するであろう改正事項は以下の通りです。
- A)リバースチャージ方式の導入
- B)免税ショップ手続きの緩和
では、各改正事項毎に、概要を見ていきます。
リバースチャージ方式の導入
制度の概要
一定の電子商取引につき、従来不課税であったものが、課税対象となりました。
これにより、購入者側にて、新たに納税義務が発生します。
(=リバースチャージ方式)
対象者
以下のような要件を満たす者が、リバースチャージ方式の納税義務者となります。
- ・国内事業者
- ・特定仕入を行った者
対象資産
今回新たに納税義務が発生するのは、特定仕入に関する資産譲渡等です。
特定仕入とは、以下のようなものです。
- A)事業者向け電気通信利用役務の提供
- (平成27年10月1日以降)
- B)特定役務の提供
- (平成28年4月1日以降)
上記Aは、以下のようなものが想定されます。
- ①電子広告・著作物の提供/利用許諾
- ②クラウドASPサービス
- ③電話・メール等を介したコンサル業務(※)
- ※依頼業務の情報収集・分析等を除く
他方、以下のような一般消費者向けサービスには、リバースチャージ方式が適用されません。
- ①電子書籍・音楽配信
- ②インターネットの英会話教室
また、上記Bは、外国人タレントによるイベント出演料等が想定されます。
必要な手続き
新たに納税義務者となることで、仮受消費税の発生認識が必要です。
一方、国内取引となるため、同時に課税仕入も認識します。
リバースチャージ方式における、仕訳例は以下の通りです。
(借方) | (貸方) | ||
---|---|---|---|
仕入 | 10,000 | 現金預金 | 10,000 |
仮払消費税 | 800 | 仮受消費税 | 800 |
会計ソフトを使っている場合は、アップデートがあると思います。
各メーカーが設置する消費税コードを使用すれば、実現できるでしょう。
上記仕訳例の通り、結局の消費税納税額は0円となります。
ただし、以下に該当する場合、当面、当該処理はなかったものとみなされます。
- ①課税売上割合:95%以上
- ②簡易課税
①が95%未満となる場合は、納税が発生する可能性があるので、留意します。
他方、一般消費者向け電気通信役務の提供については、仕入税額控除は認められません。
ただし、「登録国外事業者」からの役務提供の場合に限り、認められます。
(同登録申請制度は平成27年7月1日よりスタート)
当該事業者に該当するか否かは、国税庁HP、請求書等により確認できる予定です。
また、リバースチャージ方式の対象となる場合、国外事業者には表示義務が課せられます。
(「この取引は、特定課税仕入として、あなたに納税義務が発生しますよ」という旨)
免税ショップ手続きの緩和
①制度の概要
免税手続きを第三者(免税手続きカウンター)に委託することができます。
また、外航クルーズ船向けの臨時販売所(免税ショップ)が設置できます。
②改正による影響
従来、外国人旅行者に対する免税手続きは、各免税ショップで行われていました。
しかし、中小企業にとっては、語学力・事務煩雑性等の点から、負担となっていました。
そこで、各ショップでの手続きを代理(委託)する、カウンター設置が可能となりました。
(平成27年4月1日以降より)
また、臨時販売所の設置が容易になりました。
予め、税務署長の承認を受けていれば、臨時販売所前日までの届出にて、出店が可能です。
これらにより、免税店の拡大が見込まれます。
③免税手続きカウンターの設置要件
免税手続きカウンターの設置には以下のような要件が必要です。
- ①特定の場所に設置すること
- ②代理契約を締結する
- ③委託主との情報共有(免税販売手続き)
- ④適切な人員配置
特に条件①は注意が必要です。
免税手続きカウンターは、委託主の事業所に近くに設置する必要があります。
例えば、同一の商店街、デパート、テナントビル等への所在です。
したがって、遠方の免税ショップの業務を受託する、等はできません。
同一地域内での身内を相互扶助する制度、といったイメージです。
倉敷で言えば、倉敷駅前商店街が合致しそうです。
なお、岡山では既に天満屋にて、免税手続きカウンターが設置されています。
(表町商店街、ロマンチック通りの商店街等の店舗が委託)
特に倉敷では、岡山県内でも1,2位の集客力を持つ、倉敷美観地区があります。
外国人観光客誘致の施策として、有効ではないでしょうか。