切手と消費税、課税処理と法人税との関係
税務
郵便切手の税務処理
法人税と消費税の差異
-誤認しやすい例-
法人税
- 2015.04.30 -
消費税法における、切手の原則的扱い
切手の譲渡は、原則、非課税取引とされています。
(消費税法第6条第1項、消費税法別表第一)
しかし、実務上は、購入時に課税取引とする場合もあるのではないでしょうか。
以下では、切手に係る税務の概要を見ていきます。
切手に消費税がかかる理由と時期
切手は通常、郵便配達をしてもらう際に、使用されます。
そのため、郵便物等を送る行為は、下記2つから構成されます。
- ①郵便局等で、切手を購入する
- ②ポストへ投函し、配達してもらう
このうち、非課税とされるのは、上記①です。
上記②は役務の提供として、課税仕入処理されます。
切手に消費税がかかるのは、このためです。
したがって、原則的には、使用時に課税処理が必要となります。
しかし、それでは経理事務が煩雑になります。
よって、便宜的に、購入時(代金を支払った日)の課税仕入が認められています。
(消費税法基本通達11-3-7)
法人税と消費税の差異
法人税においても、同様の理由で、簡便な方法が認められています。
一定要件に該当する場合、未消費の棚卸資産であっても、損金算入が可能です。
(法人税法基本通達2-2-15)
具体的には、以下の通りです。
- ・事務用消耗品費等、一定の棚卸資産である
- ・毎期、概ね一定量の取得/経常的な消費
- ・継続的に取得時損金処理している
この法人税の特例に従えば、購入時に課税仕入/損金、とできそうです。
しかし、切手は、「事務用消耗品費等」に該当しないとされています。
(切手は、現金と同様の性質を持っているため)
他方、法人税では、短期前払費用の特例も用意されています。
(法人税法基本通達2-2-14)
この場合、支払日から1年以内に役務提供を受けるものは、損金処理が可能です。
しかし、要件である「一定の契約に基づき~略~1年以内に役務提供を受ける」
とは言い切れない面もあり、適用は困難です。
以上より、法人税においては、期末に貯蔵品振替が必要です。
この場合、消費税と法人税とで、乖離が発生します。
切手の決算処理(会計仕訳)
上記検討結果より、一般的には、以下の会計仕訳が必要になるでしょう。
- 【具体事例】
- ・切手購入:10,800円
- (内、期末未使用分:108円)
- 【購入時】
(借方) | (貸方) | ||
---|---|---|---|
通信費 | 10,000 | 現金預金 | 10,800 |
仮払消費税 | 800 |
- 【期末決算処理】
(借方) | (貸方) | ||
---|---|---|---|
貯蔵品 | 100 | 通信費 | 100 |
決算節税対策として、期末に切手類を大量購入するケースもあります。
しかし、未使用分につき、法人税法上は損金にならないため、注意が必要です。