従業員への食事・賄いと給与所得課税
税務
賄いや夜食には税金がかかる?
従業員への食事支給
-飲食店や残業時の軽食-
所得税
- 2015.09.17 -
従業員への食事・賄いと給与所得課税
飲食店では、従業員に賄いを支給する場合があります。
また、工場では安全上の観点から残業する者に軽食を支給することもあるでしょう。
その際、従業員が受けた経済的利益について、課税する必要はあるのでしょうか。
結論から述べれば、原則課税が必要です。
給与計算時の天引きや課税処理を忘れないよう、注意します。
給与所得課税が必要な場合とは
賄いを支給したとき
賄いを支給した場合、その材料費に関わる金額が従業員への給与として課税されます。
例えば、一食:200円の材料使って20日賄い支給をすれば、課税対象は4,000円です。
従業員の給与計算では、4,000円に対する所得税を給与天引きします。
ただし、以下に該当する場合、課税の必要はありません。
(所得税基本通達36-38の2)
- ・食事代の50%以上の金額を、従業員から徴収している場合
- (ただし、経済的利益が月額3,500円以内)
- ・残業等により支給した場合
- (時間内勤務に関わる食事支給は対象外です)
軽食を支給したとき
飲食店でない場合、賄いではなく軽食が支給されることがあります。
例えば、工場勤務者に対するパンやジュース等の支給です。
この場合の経済的利益は、その軽食購入対価で判定します。
例えば、1個100円のパンであれば、100円が経済的利益です。
軽食も賄いの場合と同じく、50%以上の徴収が課税判断のポイントとなります。
なお、飲食店の場合と比べ重要な要素は、「残業等に起因するものであるか」という点です。
例え50%を徴収していなくとも、残業、宿直、日直した者に対する課税はありません。
非飲食店の場合、これに該当する場合も多いのではないでしょうか。
課税判定要素として重視すべきポイントとなるでしょう。
課税と判断されないためのポイント
従業員への経済的利益供与と判定されないためには、以下のポイントが考えられます。
- ・就業規則等を整備し、残業/非残業時間を明確にする
- ・タイムカードや食事提供、材料代の記録を残す
- ・給与計算時に天引き要否を検討する
なお、飲食店では福利厚生の一環として、賄い代を徴収しないことも多いようです。
その場合、経常的に食事が発生するため、出勤日数に基づき課税処理することもあります。
ただし、賄いに使った材料費は変動する場合もあるため、随時単価の見直しは必要でしょう。
税務調査では求人情報誌に掲載している「賄い無料」の従業員募集記事や「探聞情報資料せん」により、無償支給の事実を事前に察知していることが多いでしょう。
また、正社員に対する賄いとアルバイトに対する賄いとは理由が違うかもしれません。
例えば、新メニューの開発等を理由にした賄いであれば、客観的証拠(議事録等)があれば給与でないとも言えます。