プリペイドカードの売上収益認識基準
税務
プリペイドカードの売上計上時期
法人税と消費税の差異
-仕訳の混同に注意-
法人税
- 2015.08.12 -
プリペイドカード発行と税務
プリペイドカードを自社で発行する場合、売上収益の認識時期が問題となります。
そこには、法人税と消費税の違いが影響しています。
以下では、各々の差異と売上計上処理について、解説します。
法人税法上の処理
一般的なプリペイドカードは、いわゆる「商品引換券等」に該当します。
よって、プリペイドカードの益金計上時期は以下のいずれかを選択できます。
(法人税法基本通達2-1-39)
- A)プリペイドカード発行日の事業年度(原則)
- B)プリペイドカード利用日の事業年度(特例)
なお、上記Bの収益認識基準を採用する場合、以下のような要件を満たす必要があります。
- ①プリペイドカードを発行事業年度毎に区分管理
- ②税務署長による所定事項の事前確認
- ③継続適用
中小零細企業の経理業務を考えた場合、特例適用のハードルは若干高くなります。
多くはAの収益認識法を採用する場合が多いのではないでしょうか。
なお、原則法によった場合、益金に対応する損金の計上も可能です。
つまり、未引換分に対応する原価を損金算入できます。
当該損金算入部分は、翌期に益金算入します(毎期洗替え)。
(法人税法基本通達2-2-11)
消費税法上の処理
消費税では、資産の譲渡時に課税売上が発生します。
ここでいう譲渡時期とは、プリペイドカードと商品が引き換えられたタイミングです。
(消費税基本通達9-1-22)
法人税の原則法を採用した場合、発行時に売上計上しますが、消費税では通常後日となります。
この点において、両者で売上収益処理の乖離が発生します。
消費税上、未引換売上部分は、期末において決算振替仕訳処理が必要となります。
プリペイドポイント管理ソフトの操作
プリペイドカード発行事業者の多くは、ポイント収益管理ソフトを導入していると思われます。
仮に、税理士や職員が資料を貰う際は、発行ポイントの数値に注意します。
通常、得点付与は現金入金を伴いますが、無料分の付与等が行われる場合もあります。
(例:期間限定のポイント増額キャンペーン等)
1円=1ポイントと分かりやすいシステムの場合、ポイント数=入金額と誤認しやすくなります。
可能であれば、キャッシュと得点の流れを区分収益管理できればベストです。
また、有効期限がある場合は、失効分の売上収益管理も必要です。
実務上は、ポイント残高と未引換部分の収益整合性に留意します。