青色事業専従者(妻等への)給与における注意点
税務
妻への給与は幾らまで?
個人事業主の確定申告
-青色専従者給与-
所得税
- 2015.01.31 -
青色事業専従者給与の概要
生計を一にする親族等へ支払った対価(給与、家賃等)は、原則として必要経費に算入できません。
(所得税法第56条)
ただし、一定の要件を満たす場合、その家族等に支払う給与を必要経費とすることができます。
(所得税法第57条第1項、第3項)
個人事業では、妻を専従者にしている場合も多いのではないでしょうか。
なお、青色事業者専従者となるためには、以下のような要件を満たす必要があります。
- ①青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族である
- ②その年の12月31日時点で15歳以上である
- ③原則、6月を超える期間、事業に専ら従事している
上記のうち、税務調査で問題となり易いのは、③です。
「専ら従事している」の判断は、個々の事業特性、職務内容等が総合的に勘案されます。
例えば、以下のケースでは「専ら従事している」とは言えない場合もあります。
- A)事業所にほとんど出勤していない
- B)行う業務量が極端に少ない
- C)単に資格を保有しているだけで業務に携わっていない
- D)複数の職業を有し、専ら事業に従事できない
税務調査で否認を受けないためには準備が必要です。
例えば、タイムカードや業務日報等の客観的資料を残しておくことも有効と思われます。
青色事業専従者給与の金額の妥当性
青色事業専従者給与で、もう一つ問題となり易いのが、その給与額が労務実態等に対し、適正か否かという点です。
判断基準として、以下のような事項が検討されます。
- A)労務に従事した期間
- B)労務の性質、提供の程度
- C)その事業の種類及び規模並びに収益の状況
- D)同種同規模事業に従事する者の給与の状況
- E)他の使用人の給与の状況
妻や子という関係上、いわゆる「お手盛り」が発生する可能性は否めません。
まず、上記Eについて、自社で同程度の勤続年数、職務内容等を持つ使用人と比べてみます。
仮に、比較対象がいない場合は、Dとの比較をしてみます。
ここでは、単に親族であるという特殊事情は考慮外とします。
他の使用人等と比べて同等程度に金額設定されているか否かがポイントとなります。
税務調査で否認を受けないためにも、今一度チェックしておきましょう。
税務調査での指摘例
専従者給与では、形式と実態が乖離する場合もあります。
個人事業では、身内商売といった側面が強く、恣意性も働きやすいからです。
そして、税務調査では、何気ない質問から問題が発覚する場合があります。
例えば、従業員への質問が端緒となるケースです。
- 『奥さんはいつも何時くらいに出社されますか?』
- 『店舗外でどんな仕事をされてるんですか?』
- 『小さいお子さんの世話はどうされてるんですか?』
何も知らない従業員によって、ぽろっと溢された言葉がきかっけになることもあります。
(当然、従業員には何ら罪はありません)
専従者給与の設定では、「他人であってもその仕事にその対価を払うか」の視点を持ちます。
また、不動産管理のケースでもその仕事内容が問題となりやすいと思われます。
不動産管理においては、通常不動産管理会社が処理の多くを代行します。
例えば、電灯切れや修繕手配、清掃、賃借人からのクレーム処理、借主募集等です。
規模や契約、関与度合いにも依りますが、専従者が行うべき仕事はそう多くない場合もあります。
このときも、専従者給与の高さが問題に成り易くなります。
ご高齢の場合は、身体能力や健康面からも、管理できる範囲は限られてくるかもしれません。