サブリースと消費税の仕訳処理

税務

サブリース

賃貸アパート経営と消費税

契約形態にはご注意を
-サブリース・転貸-

消費税

- 2015.01.31 -

消費税法上の非課税取引とは

不動産事業では、消費税の課税取引と非課税取引とが多く混在します。
賃貸物件管理事業では、管理戸数の分だけ影響は大きくなります。
また、オーナーと不動産会社との契約形態によっても、消費税の取扱いは異なります。
(特に、サブリースの場合)
以下では類型毎に概要を見ていきます。

消費税法上の非課税取引は、13項目に分類されています。
(消費税法第6条、消費税法別表第一)

このうち、不動産事業で頻出するものは以下の通りです。

  • ・土地の譲渡及び貸付
  • ・住宅の貸付

土地の譲渡及び貸付に関する取引

不動産売買では、自社で土地を仕入れる場合と、そうでない場合があります。
前者では、在庫維持コストが発生する反面、当該取引は非課税となります。
一方、後者では仲介手数料等が発生するでしょう。
仲介手数料は、土地そのものの売買とはいえないため、消費税の課税対象となります。
(消費税法基本通達6-1-6)

また、土地に似たものとして、借地権等の権利があります。
これらの譲渡代金や貸付代金も非課税です。
(消費税法基本通達6-1-2)

ところで、土地を駐車場として貸付ける場合もあります。
駐車場の貸付は、消費税の課税対象となります。
しかし、以下のような場合は、土地の貸付として、非課税処理することができます。
(消費税法基本通達6-1-5)

  • ・アスファルト舗装、個別の駐車区画等を設置しない
  • ・車両等の管理をしていない

巷では、更地にロープだけで駐車区画を区切ったものも見受けられます。
これらも、消費税課税対象となる可能性が高いと思われます。
非課税と認定されるには、更地のままでの貸付が必要です。

住宅の貸付

典型例として、賃貸アパートの貸付が、該当します。
非課税取引には、家賃の他、敷金・礼金・共益費等も該当します。
(消費税基本通達6-13-9)
また、駐車場代込みの家賃の場合、当該駐車場代も非課税です。
(駐車場別契約の場合は、課税となります)

ところで、物件によっては、事務所設置も認めている場合もあるでしょう。
その場合、「住宅用」とは認めれないため、非課税となりません。
では、当初住宅用として契約し、ある時期から事務所に転用した場合はどうでしょうか。

結論から述べると、非課税とはなりません。
課税仕入とするためには、賃貸契約書等の巻きなおしが必要となります。
(消費税基本通達6-13-8)

また、アパート退去時には、原状回復費用が発生します。
当該費用は住宅の貸付に関連しそうですが、課税取引となります。
これは、敷金から捻出する場合であっても、同じです。

サブリースと消費税の関係

不動産管理会社と、賃貸物件オーナーとの間で転貸契約を締結することがあります。
(サブリース≒転貸契約)

サブリースには、家賃保証や非保証などの諸形態があります。
従来の管理代行では、当該管理料について、消費税が課税されます。
一方、サブリースの場合は、管理という概念が無くなります。
(ただし、集金家賃とオーナーへの支払差額が、実質的な管理料相当額です)

管理物件かサブリースか否かによって、税務処理が異なります。
通常、物件毎のサブリース契約状況を税理士・職員が把握すること困難です。
(随時、オーナーとの契約更新が行われる可能性があるため)

特に、契約戸数が1,000戸を超えるような場合、管理も複雑となります。
よって、税理士が記帳代行等を受託している場合は、注意が必要です。

サブリース方式(A)と管理料徴収方式(B)では、消費税の取扱いが異なります。
具体的には、以下の通りです。

方式 内容 不動産管理会社 オーナー
家賃収入
(住宅)
非課税売上 非課税売上
家賃支払 非課税仕入 -
管理料相当額 家賃支払時にマイナス 家賃受取時にマイナス
家賃収入
(住宅)
- 非課税売上
家賃支払 - -
管理料相当額 課税売上 課税仕入

収益計上時期は、AB方式共に契約書(※)が存在すると思います。
(※例:○○分家賃を月末までに集金し、翌10日にオーナーへ支払う等)

一般に不動産会社とオーナーとの業務委託契約は、支払いまでが一連の範囲と思われます。
この場合、オーナーは契約内容に基づき、契約上の支払日に収益計上を行います。

【注】本Tipsでは、投稿日時点の情報を掲載しています。記事に関する税務・個別具体的判断につきましては、最寄の税務署または顧問税理士・税理士法人等へ相談確認して下さい。万一当記事に基づいて発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねます。