太陽光発電の売電収入と所得税確定申告
税務
太陽光の売電収入は確定申告を
一定要件なら申告不要に
-申告漏れに注意-
所得税
- 2015.08.11 -
太陽光ソーラーパネルを買ったら確定申告
近年、太陽光ソーラーパネルを設置する住宅が増えてきました。
一部ハウスメーカーでは、売電収入で住宅ローン返済を謳う業者も見かけます。
太陽光発電装置は規模や種類も様々で、家庭用でも大きな売電を見込めるものもあります。
以下では、太陽光発電収入と所得税確定申告の関係について、解説します。
太陽光発電の売電収入は何所得に該当するか?
一般家庭の売電収入は、原則、雑所得に該当し、確定申告が必要です。
雑所得とは、所得の類型毎に設けられた、所得税法上の一課税区分のことです。
売電収入では、以下のように雑所得を計算します。
- 雑所得 = 売電収入 - 必要経費
上記必要経費とは、売電収入を得るために直接要した費用を指します。
代表的なものとして、太陽光発電設備の減価償却費が挙げられます。
減価償却費とは、設備購入代金を、複数年に渡り費用配分する方法です。
例えば、設備一式を500万円で購入したとします。
一般人の感覚では、支払ったその年に500万円の経費が発生したと認識します。
しかし、税務上は、その金額を複数年に渡り、経費化していきます。
一般的な住宅用太陽光発電設備では、17年に渡り費用化します。
簡略に説明すると、以下の計算を行います。
- 500万円 ÷ 17年 ≒ 29万円(A)
つまり、(A)が1年で計上できる経費の限度です。
なお、全量売電でない場合、家庭用に消費している電力もあると考えられます。
その場合、余剰売電部分に対応する部分のみ、確定申告上、経費として計上します。
また、太陽光発電設備を廃棄した場合も、確定申告にて経費計上可能です。
この場合、キャッシュアウトが発生しないため、わかりにくいと思います。
しかし、上記で減価償却できなかった金額部分が経費計上の対象となります。
例えば、15年目で設備を廃棄した場合、確定申告では以下となります。
- (A) × 15年 = 435万円(B)
- 500万円 - (B) = 65万円
確定申告不要となる要件
通常サラリーマンの場合、以下の要件を満たせば、所得税確定申告は不要です。
(所得税法第121条1項)
- サイドビジネスの年間所得:20万円以下
給与以外に得ている収入が太陽光発電の売電のみであれば、当該所得のみで判定します。
ここでは、収入ではなく、所得で判定していることがポイントです。
つまり、売電収入が年間50万円あっても、経費が30万円かかっていれば、所得は20万円です。
なお、その他雑所得(例:趣味のイラストレーション副業等)があれば、それと合算し判定します。
また、確定申告の実務ポイントは、領収書・契約書等をきちんと保管しておくことにあります。
太陽光発電設備に関する領収書等がなければ、経費を計算できません。
20万円判定を行うためにも、捨てずに取っておきます。
例えば、太陽光発電設備では、購入以降もメンテナンス費用が発生します。
発電モジュールに修理が発生した場合、経費にできる可能性があります。
確定申告では、経費を漏らさず計上・保管することが、最大の節税のポイントです。
確定申告会場に持っていくもの
確定申告時期になると、全国各地で無料相談・申告会場が設置されます。
サラリーマンの方であれば、以下の必要書類を持参します。
- ・源泉徴収票(年末調整時に会社で発行されたもの)
- ・預金通帳(売電入金が分かるもの)
- ・領収証/請求書/納品書(太陽光設備等に使った軽費)
- ・売電契約書
- ・前年の確定申告書一式(あれば)
- ・電子申告利用者識別ID/パスワード(※)
- (※昨年以前に会場で電子申告していれば)
- ・認め印
売電収入と住民税
サラリーマンの場合、通常年末調整でその年の課税関係が終了します。
上記の通り、売電所得が20万円以下では、所得税確定申告は必要ありません。
しかし、住民税の申告は別途必要になります。
住民税申告については、上記確定申告会場に併設されている場合もあります。