テナント改装の資本的支出と修繕費
税務
テナント改装費は即経費で落ちるか
資本的支出と修繕費の区分
-耐用年数と節税方法-
法人税
- 2015.08.12 -
テナント改装と節税対策
テナントを改装する場合、多くは固定資産の取得として処理します。
その場合、数十年単位での減価償却となり、修繕に比べ、節税効果は乏しいものとなります。
そのため、どれだけ修繕費にできるか、償却期間を短くできるかがポイントです。
以下では、テナント改装費用に係る税務・資本的支出について、解説します。
資本的支出と修繕費の区分方法
テナント改装は、入居前とほぼ同じ状態で使用するか否かによっても、処理が異なります。
もし、用途変更のための模様替えや価値増加等に該当すれば、資本的支出に該当します。
(法人税法基本通達7-8-1)
しかし、そうでない部分については、修繕費処理も認められます。
なお、実務上判定は困難な場合も多く、形式基準による判定チャートが用意されています。
詳細は割愛しますが、
資本的支出の区分判定はこちら
で行うこともできます。
ところで、一の計画で行われる工事は、期をまたいでいても、2つを合算して判定します。
例えば、今期に壁の補修を。来期に床の補修をしたとします。
この場合、両者を合算した金額で、資本的支出/修繕費の形式基準判定を行います。
耐用年数の決め方
仮に、テナント改装が資本的支出に該当した場合、工事毎に耐用年数を決める必要があります。
テナントのように、他人の建物に対する造作は、合理的耐用年数を見積もります。
(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3)
例えば、以下のような方法が考えられます。
(定額法を元に簡易計算)
- ①フロアタイルの張替え(A)
- →使用状況、素材等が類似する同建物テナントの取替実績:10年
- ②壁造作(B)
- →鉄筋店舗用を適用:39年
工事 | 取得価額 (ⅰ) |
耐用年数 (ⅱ) |
償却費 (ⅰ÷ⅱ) |
---|---|---|---|
A | 1,000 | 10 | 100 |
B | 5,000 | 39 | 128 |
計 | 6,000 | (※)26 | 228 |
上記※は、6,000÷228≒26として、計算しています。
したがって、当該テナント改装に係る資本的支出の耐用年数は26年となります。
(個々の資産毎に償却するのではないことに注意)
なお、以下に該当する場合は、賃貸期間を耐用年数とすることができます。
- ・建物に賃貸期間の定めがある
- ・契約更新が不可
- ・有益費の請求又は買取請求が出来ない
各工事の峻別や資本的支出の判断、耐用年数の決定には、専門知識も必要です。
それは税の知識とリフォーム工事の知識との両方という意味です。
通常税理士はリフォームに関する知識に乏しいと思います。
そのため、工事契約書等を見ながら実際の施工内容をヒアリングしていくことになります。
可能であれば、税理士と工事業者を交えて打ち合わした方がスムーズで確実でしょう。