手取り報酬の源泉所得税
税務
報酬源泉の計算
手取り額で払う場合
- 1号報酬 -
所得税
- 2022.4.11 -
手取り報酬と源泉所得税の計算
報酬の源泉所得税(1号や2号)につき、消費税が明記されている場合は、通常税抜価額に対し10.21%の源泉徴収が発生します。
では「手取りで11,000円(消費税込)の報酬が欲しい」と言われた場合、源泉徴収義務者は徴収税額をどのように計算すれば良いでしょうか。
本稿では事前に手取り契約がされていた1号報酬のケースについて、解説します。
所得税基本通達の確認
所得税基本通達(221-1)では、以下のように規定されています(一部抜粋)。
- A)源泉徴収税額を徴収していなかった理由が、支払者が負担する契約となっていたことによるものである場合には、取引手取額により支払金額が定められていたものとして計算する
手取額=消費税込の金額、と明示されていませんが、後記の理由で消費税込の金額で計算すると思われます。
具体的な計算例
設例:11,000円(本体価格10,000円、消費税:1,000円)の報酬を払う契約の場合
- 11,000÷(1-0.1021)=12,250円
- 12,250×0.1021=1,250円(源泉徴収税額)
- 12,250-1,250円=11,000円(手取額)
手取額=消費税込とする理由
前述の通り、手取額=消費税込で計算していますが、通常本体価格と消費税額が分記されている場合、本体価格に10.21%の源泉所得税を計算します。
この考えに則ると、税抜価格を割り戻すべきですが、以下の結果となってしまいます。
- 10,000÷(1-0.1021)=11,137円
- 11,137×0.1021=1,137円(源泉徴収税額)
- 11,137×0.1=1,113円(消費税額)
- 11,137+1,113-1,137円=11,113円(手取額)
結果として消費税額が増えてしまうため、手取額が想定金額と一致しません。
以上が手取額=消費税込みとする理由です。